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レトリックブログ村 過去記事

  • 誰の歌だっけ...

    連休中の晴れた午後、庭の木陰に座り、イタリア製の同じデザインの軽登山靴を三足並べ、久し振りの手入れ。三十年程前に最初の一足を買って以来、その後買い足しつつビブラムソールも取っ替え引っ替え何度も貼り替えて今日に至る——アスファルト・ジャングルのタウン履きなので、踵の減りは山履きより早い。大人になってからの出来事の多くが、これら三足のうちのどれかを履いているときのもの——記憶の向こうからランダムにやって来る思い出は、どれも短篇映画を観ているよう。ふと口をついて出た歌——僕にはとても信じられない、14時すぎのランチカフェ——誰の歌だっけ...。【RickyNelson-It'sUpToYou】誰の歌だっけ...

  • 虹と白砂に彩られた、どこか遠い国

    風邪をひいたことにして、夏休みの部活を休んだ。いや、サボった。水泳部は——熱さえなければ——風邪は泳いで直してしまうのが常識だから、今日のこの風邪らしきものには『微熱らしきもの』も出ていないと辻褄が合わない。*昼下がり、自室の畳の上で大の字になって寝ていると、開け放った窓越しに庭から同級生で同じクラブの水口イチ子の声が聞こえてきた。部活帰りに『不肖な息子』を見舞ってくれたことを母親が縁側から礼を言っている。「ちょっと出てらっしゃい!イッちゃん来てるわよー」と母の声。イチ子と母の話題は、高校最後の夏と進路。イチ子は潑剌とした声で、いつか『虹と白砂に彩られた、どこか遠い国』を旅するのだと熱く語っているのが聞こえる。【松尾清憲-愛しのロージー】虹と白砂に彩られた、どこか遠い国