痩せた猿が誘蛾灯の下の小さな檻の中で陳腐な引用と比喩だらけの言葉を吐いていた、のべつ幕なしに並べ立てていたがそれは一言も俺の興味を引くようなものではなかった、生まれてこのかた名前も聞いたことが無いようなコンビニエンスストアの入口のそばだった、俺はちょっとした食いものとシェービングクリームを買うついでに長い長い夜の散歩に出てこのコンビニを見つけ、そして誘蛾灯の下でハリウッド臭い青色に染まっている痩せた猿を見つけたのだった、あんた、ねえ、あんた、と痩せた猿は俺を見つけるとしきりに俺の興味を引こうとした、あとで、と俺は答えて買物をするために店内に入り少し時間をかけて食いものを選び、いつも使っているシェービングクリームを探したが見つからなかったので適当に同じくらいの値段のものを選んでレジへ行った、他に客も見当たら...痩せた猿が誘蛾灯の下で
瞬きの中に一生を見つけることがある、奇妙に開かれた朝、俺は薄暗い歴史を抱いて合成レザーのソファーの上で小説を読んでいる、壁掛け時計はずっと動いていないように思えるがその存在を忘れている間に数分針を進めている、カーテンの僅かな隙間から忍び込んでくる光が今日の天気はまずまずだということを告げている、本当に何かにのめり込んでいる時、空気は張り詰めたりしない、擬態する虫のように存在は風景の中で境界線を残すのみとなっている、そんな時脳髄から零れ落ちて来るものたちのことを俺は上手く説明することが出来ない、こうしてありのままに書き記すことは出来てもそれが何なのかは理解していない、それを理解することを良しとしていないからだ、ありのままに、現象として放り出すことが一番いいことだと気付いたからだ、つまりそこにはどんな意図も存...蜥蜴の行方の先の素描
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